季の手帖Ki no Techo

読みもの 05 机

出さなくていい、一通

 約2分 季の手帖編集室

年賀状には、まだ間があります。十二月に入ってから宛名を書いても、暦には間に合います。立冬に勧めるのは、もっと短いものです。

相手は一人。すでにやり取りのある人にします。知らない人へ、季節を理由に手紙を送り始めない。近況の全部を報告しなくていい。思い出せた場面を一つ。「柿を四つに切った」「角を曲がって戻った」。それだけで、手紙の形になります。

朝、もう一度

紙がなくても、メモで足ります。送るかどうかは、書いた後に決めていい。下書きのまま閉じた文も、書いた事実は机の上に残ります。急いで送って、夜のうちに後悔するより、朝もう一度読んでからにする。

長さは、相手の負担にならないところまで。返事を求めない一行を、末尾に添えてもいい。「返事は、気の向いたときで」。この一行があるだけで、受け取った人の夜が軽くなります。

売名や案内を混ぜない。季の手帖の手紙は、用事の少ない文です。用件があるなら、手紙の形を借りずに、用件として書いてください。

了