読みもの 02 台所
つゆは、自分で薄める
新蕎麦という言葉を、店は秋から冬の入口にかけて出します。土地によって、粉の収穫は前にも後ろにもずれます。立冬の前後は、まだ「今年の蕎麦です」と言える頃、と思っておいてください。
正確な入荷日は、店ごとに違います。このサイトは店を採点しません。行列の長さも、名人の話も、手帖の外に置きます。家の鍋でも、駅前の立ち食いでも、着地は同じです。つゆの濃さを、自分の舌で決めること。
乾麺で足ります
家で食べるなら、乾麺で足ります。生麺が手元にある日は、それでもいい。鍋の湯は、麺が泳げる量まで多くします。表示の時間を一度信じ、その後は自分の歯で決めてください。表示は出発点で、約束ではありません。
茹で上がったら、流水でぬめりを流します。この一手で、つゆが麺に絡みます。湯を切ったあとに放置すると、麺同士が貼りつきます。食べる直前に茹でるのが、いちばん手間が少ない。
濃さは、足すより落とす
つゆは、瓶のまま濃いことが多いです。椀に少し取り、味を見て、水か、薄めのだしで落とす。迷った夜は「うすい」から始めて、足りなければ足す。足すのは簡単で、薄めるには椀の中をもう一度いじることになります。
うすい。迷った夜は、ここから。
薬味は、ねぎ一つで足ります。七味を振るなら最後に、指で一摘み。海苔は、あれば。なければ、なくていい夜です。
了